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2007年6月

2007年6月30日 (土)

贈与税の申告と納付

相続税の申告と納付については以前書きました通りですが、今回は贈与税についてです。

1月1日~12月31日(1暦年間)に受けた贈与(複数の者からの贈与の合計)が基礎控除額の110万円を超える場合は、贈与税の申告書を提出し、納税します。期間は、翌年2月1日から3月15日までの間で、贈与を受けた人の住所地の税務署に提出します。配偶者の贈与特例控除特定贈与者からの贈与を受ける場合は、納める税金がなくても申告書の提出が必要です。

○納税方法

現金一括納付が原則ですが、以下の要件を満たすときは、申告期限内に手続きをすれば延納が認められます。

・納期限までに金銭で一度に納付するのが困難な場合
・納付税額が10万円を超えていること
・担保を提供すること(ただし、延納税額が50万円未満で、延納期間が3年以内の場合は不要)

延納期間は最長5年間で、年6.6%の利子税が別にかかります。相続税の場合に選択できる物納(債権や不動産などで納税)の制度は、贈与税の場合ありません。

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2007年6月29日 (金)

住宅取得資金にかかわる相続時精算課税制度

前回は、相続時精算課税制度についてでしたが、贈与対象財産が住宅取得資金の場合を以下に詳しくみていきます。

○異なる点

・贈与者は65歳以上の親に限らず、65歳未満の親も対象になります。
・贈与税の非課税限度額は1,000万円加算され、3,500万円です。

○住宅の要件

・受贈者が住む家で、床面積が50m2以上あり、かつその家屋の2分の1以上が居住用(店舗併用住宅などの場合)。
・中古住宅の場合は、築年数が20年(耐火建築物は25年)以内。
(H17年4月以降取得するものについては、新耐震基準に適合しているものは築年数にかかわらず対象となります)。
・増改築の場合は、工事費用が100万円以上であり、かつ増改築後の床面積が50m2以上。
・H19年12月末までの適用でしたが、H21(2009)年末まで延長されました。

(追記)内容は変わっていますが、H26(2014)年も継続されています。

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2007年6月28日 (木)

相続時精算課税制度

H15年の税制改革によって新しく導入された制度で、親の財産を次世代へ円滑に移転させるためのものです。通常の贈与では暦年で110万円までの控除枠がありますが、代わりにこの制度を利用することにより2,500万円(住宅取得資金贈与の場合は3,500万円)まで贈与税はかからず、代わりに相続時に相続税が課税されるというものです。

○対象者: ・贈与者・・・65歳以上の親(贈与の年の1月1日時点の年齢)→特定贈与者といいます。
         ・受贈者・・・20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)(贈与の年の1月1日時点の年齢)

○対象財産: 親が子どもに贈与する財産の種類に制限はありません。株でもOKです。また、金額、贈与回数、贈与期間にも制限はありません。

○その他: 

・父母それぞれの贈与に適用を受けることができます。
・一度届け出すると変更不可で、相続時まで継続してこの制度の適用を受けることになります。
・この制度の適用者が特定贈与者(被相続人)の一親等の血族に該当しないような場合には、2割加算の対象になります。

○税額の計算

①贈与時: 

この制度を選択した子が親(特定贈与者)以外の人から贈与を受けた場合は、110万円を基礎控除した後に、通常通りに贈与税額を計算します。この制度を選択した親からの贈与財産については、累積で2,500万円の非課税枠を超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。(住宅取得資金の場合は3,500万円まで。ただしH19年末までの当初の期限は延長されています。)

②相続時:

それまでの贈与財産と、相続財産を合計した価額に対し、所定の税率をかけて相続税額を計算します。そこからすでに支払った贈与税額を控除した額が、支払うべき相続税額です。

→ ・すでに支払った贈与税額のほうが、計算された相続税額より多い場合は、還付を受けることができます。
   ・贈与財産の価額は、相続時ではなく贈与時の価額で計算します。

この制度を利用しても利用しなくても、理屈の上では支払う税額の合計は同じであり、節税になるわけではありません。しかしこの制度を利用することにより、少ない税額で早めに財産を移転することができるので、評価が上昇しそうな財産を持っているときには有効活用できます。

一方で建物や土地の場合については、(相続税評価額は通常は時価よりも安くなるので、)暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利かはわかりません。

「相続時精算課税」の場合は2,500万円(3,500万円)が相続財産として算入されますが、一方で暦年課税を選択し、贈与税の非課税限度額を超える部分については親名義の不動産(贈与する人の名義)としておくことにより贈与税は課税されず、相続時には相続税評価額として評価されるので(相続時に不動産が大きく値上がりしていなければ)暦年課税のほうが有利になることもあります。

ただし、親名義の部分は「住宅ローン減税」は受けられないので注意が必要です。

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2007年6月27日 (水)

相続税の申告と納付

相続は、被相続人の死亡によって開始します。被相続人の死後7日以内に死亡届を、死亡者の住所地の市区町村へ出します。以後の手続きは以下の通りです。

○3ヶ月以内: 相続の放棄、限定承認は相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内

○4ヶ月以内: 相続開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に、所得税の準確定申告を行います。準確定申告とは、死亡した人の確定申告です。通常の確定申告は翌年の2月16日から3月15日までに行いますが、準確定申告は異なります。準確定申告では、相続人が連名でその人の確定申告書を提出します。

○10ヶ月以内: 相続税の申告と納付は、相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行います。

○1年以内: 遺留分の減殺請求は、相続開始があったことを知った日から1年以内に行います。ただし相続開始から10年以内に行うことが必要です(10年を過ぎて相続開始を知っても期限切れ)。

○3年10ヶ月: 配偶者の税額軽減の適用を受けるには、10ヶ月の申告期限の時点で遺産が分割されている必要があります。この時点で分割協議が整っていない場合には、配偶者は法定相続分にもとづいた税額を立てかえる必要があります(相続人全体で納める相続税額は、未分割であろうとかわりません)。分割協議が整い、配偶者の税額軽減を受けられることが決まると、税額軽減が適用されます。この分割協議の期限は、相続税の申告期限から3年、つまり相続の開始から3年10ヶ月です。

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2007年6月26日 (火)

配偶者の贈与特例控除

一定の要件を満たした場合、夫婦間の贈与について最高で2,000万円まで課税価格から差し引くことができます。基礎控除とあわせて2,110万円まで贈与税がかからないことになります。

○配偶者の贈与特例控除の適用要件

①婚姻期間が20年以上経過した夫婦間の贈与であること
②国内の居住用の不動産またはその取得のためのお金の贈与であること
③贈与の翌年の3月15日までに住んでいること
④同一の配偶者間で、過去にこの特例を受けていないこと

注意:

・内縁関係の夫婦には適用できません。
・この特例を受けるためには、贈与税額が発生しなくても贈与税の申告書の提出が必要になります。
・この適用を受けた場合、贈与者が死亡して相続が発生しても2,000万円までの部分は生前贈与加算の対象外です。

この特例は、
・今後不動産の価格が上昇しそうなときに、将来妻が相続したときにかかる相続税の負担を減らしたいときや
・不動産を他人に譲渡する際に「居住用財産の3,000万円の特別控除」の適用を受ける場合

などに有効活用できます。

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2007年6月25日 (月)

贈与税の計算

贈与税の話題について、前回から間があいてしまいましたが、今回は贈与税の計算についてです。

贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間(1暦年間)に、個人から贈与を受けた全ての財産について課税されます。

●贈与税の課税価格 = 本来の贈与財産 + みなし贈与財産 - 非課税財産

○基礎控除: 贈与税の基礎控除は1年当たり110万円です。贈与額の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません。

贈与税の非課税財産」のページでもふれましたが、相続または遺贈により財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から贈与された財産については、贈与税ではなく相続税の課税対象になり、贈与税の課税価格には含めません。

配偶者の贈与特例控除: 一定の要件を満たした場合、夫婦間の贈与においては贈与財産の課税価格から最高で2,000万円を控除できます。詳細は次回。

上記課税価格に対し、10%から最高で50%の税率を乗じ、一定額を控除して贈与税が計算されます。

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2007年6月24日 (日)

相続税の未成年者控除、障害者控除

●未成年者控除

相続または遺贈により財産を取得した法定相続人が未成年である場合、その人が20歳に達するまでの期間に応じて以下の控除があります。

○未成年者控除額 = 6万円 × 20歳に達するまでの年数(端数切上げ)

●障害者控除

同様に70歳未満の障害者については、その人が70歳に達するまでの期間に応じて以下の控除があります。

○障害者控除額 = 6万円 × 70歳に達するまでの年数(端数切上げ)

※特別障害者(1、2級の障害者)については6万円ではなく12万円

上記未成年者控除および障害者控除については、相続を放棄した者についても適用があります。また控除不足額が生じた場合、他の扶養義務者にかかる相続税から控除できます。

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2007年6月23日 (土)

配偶者の税額軽減(相続税)

相続税の計算3」で見ましたように、妻が受け取る遺産が5,000万円であり、相続税が800万円と計算されても、この場合実際には妻は相続税を収める必要はありません。

配偶者の相続税の軽減制度というものがあり、配偶者が相続または遺贈により取得した財産の課税価格が法定相続分の範囲内であれば、または法定相続分を超えても1億6,000万円までであれば税額はゼロになります。

以下の式により、配偶者の税額軽減額が算出できます。

○配偶者の税額軽減額 = 相続税の総額 × A / 課税価格の合計額

ここでAは以下の①、②のうちいずれか少ない額です。

①課税価格の合計額 × 配偶者の法定相続分 (①が1億6,000万円に満たない場合は1億6,000万円とします)
②配偶者の課税価格

具体例で見てみましょう。

相続人が妻と子の2人で、課税価格の合計額が4億8,000万円、うち妻の相続分(=配偶者の課税価格)が3億3,600万円、相続税の総額が9,850万円であるとき、妻の納める相続税額を計算します。

① 4億8,000万円×1/2=2億4,000万円 (>1億6,000万円なので2億4,000万円を用います)
② 3億3,600万円

となりますが、①と②で少ないのは①なので、税額軽減額は

9,850万円 × 2億4,000万円 / 4億8,000万円 = 4,925万円

よって妻の相続税額は

9,850万円 × 3億3,600万円 / 4億8,000万円 - 4,925万円 = 1,970万円 になります。

この制度の適用を受けるに当たって

・配偶者は正式な婚姻関係にある必要があり、内縁関係にある場合は適用されません。
・配偶者が相続を放棄して、財産を遺贈で取得した場合でも適用されます。
・税額軽減の結果、税額がゼロとなる場合でも申告書の提出が必要です。
・遺産が分割されていないと配偶者控除は受けられませんが、いったん配偶者控除を適用せずに申告および納税をし、以下のように更生の請求をすることで、配偶者の税額軽減の適用を受けることができます。
 ・申告期限から3年以内に遺産分割が行われた場合
 ・または相続や遺贈の提訴、調停などがなされ、分割ができることとなった日の翌日から4ヶ月以内に分割された場合

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2007年6月22日 (金)

相続税の2割加算と贈与税額控除

●相続税の2割加算

相続税の加算」のページでも見ましたが、兄弟姉妹など相続順位の低い人は、2割り増しの相続税を負担します。2割増しにならない人は以下の通りです。

・配偶者
・親、子など被相続人の1親等の血族
・代襲相続人となる孫

●贈与税額控除

生前贈与加算」のページでも見ましたが、相続開始の3年以内に被相続人から贈与を受けた財産については、贈与ではなく相続財産とみなして、相続税の課税価格に加算します。その分についても贈与税は払っているので、二重課税を避けるため相続税額から控除します。

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2007年6月21日 (木)

相続税の計算3

前回の続きです。相続税額を求めるに当たって、以下のケースを想定します。

課税遺産総額(基礎控除後)が1億円で娘が相続を放棄し、遺産を受け取るのが実際に妻、息子、愛人の3人の場合。法定相続分は妻1/2、息子1/4、娘1/4なので、遺産は妻5,000万円、息子・娘それぞれ2,500万円で仮分割します。この場合、相続税は別途速算表により妻800万円、息子・娘はそれぞれ325万円となります。合計すると1,450万円となります。

●ステップ4: 各人ごとの算出税額を計算します。

この相続税1,450万円を、実際に遺産を受け取る妻、息子、愛人の3人で分担するわけです。ステップ1で計算した各人ごとの課税価格に応じて按分します。例えば妻:息子:愛人が受け取る課税価格の比が3:2:1のときは、1,450万円を3:2:1に按分した額が、各人の相続税額ということになります。

●実際の相続税額

しかし、ステップ4で計算された相続税額をそのまま納めればよいかというと、そういうわけではありません。様々な加算や控除の制度があります。以下のようなものがあります。

2割加算
贈与税額控除
配偶者の税額軽減
未成年者控除
障害者控除
などです。

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2007年6月20日 (水)

相続税の計算2

前回の続きです。相続税を計算するにあたっては、以下のステップで計算します。

●ステップ1: 各人ごとの課税価格を以下のように算出し、合計します(合計する前に各人の相続税額を算出することはできません)。

 課税価格=相続財産+みなし相続財産+生前贈与加算-債務および葬式費用-非課税財産

生命保険金などの非課税枠については、受け取った人の保険金の金額に応じて按分します。(受けとった人が2人で保険金がそれぞれ1,000万円、250万円のとき、法定相続人が2人であれば、非課税額の合計は500万円×2=1,000万円となり、各人の非課税額はそれぞれ800万円、200万円。)

相続放棄していた場合に保険金を受け取った人、あるいは相続ではなく遺贈にて受け取った人の場合、この非課税の適用はありません。債務控除についても同様です。

●ステップ2: 課税遺産総額を計算します。

各人の課税価格の合計額 - 基礎控除額※ = 課税遺産総額

※基礎控除額 = 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

(課税価格の合計額が、基礎控除額を下回る場合は、相続税はかかりません。)

●ステップ3: 相続税の総額を算出します。

実際の遺産分割の方法に関係なく、まず法定相続人だけで法定相続分に従って分割したと仮定します。そして各人の取得価格を計算して各人の税額を算出し、合計します。例えば以下のような場合。

課税遺産総額(基礎控除後)が1億円で娘が相続を放棄し、遺産を受け取るのが実際に妻、息子、愛人の3人の場合。法定相続分は妻1/2、息子1/4、娘1/4なので、遺産は妻5,000万円、息子・娘それぞれ2,500万円で仮分割します。この場合、相続税は別途速算表により妻800万円、息子・娘はそれぞれ325万円となります。合計すると1,450万円となります。

以下、次回説明いたします。

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2007年6月19日 (火)

相続税の非課税財産、非課税限度額

社会政策的配慮などから、墓地や一定の寄付財産、公共事業用財産などが相続税の非課税財産として定められています。つまり課税財産からこれらの財産の評価額を差し引いて、もろもろの計算を経て最終的な相続税の額を算出します。

●墓所、霊廟、祭具等

葬式費用のページでも説明しましたが、墓地、墓碑、仏壇購入費用は債務控除の対象にはなりません。しかし、これらは相続税の非課税財産であり、課税価格には含めないことになっています。生前に現金で(未払い金を残さずに)購入しておくことが相続対策の1つと言えます。

●生命保険金

みなし相続財産として相続人が取得した生命保険金等には非課税枠があります。

生命保険金等の非課税限度額 = 500万円×法定相続人の数

この適用が受けられるのは「相続人が相続によって」取得したとみなされる場合であり、「相続人以外が遺贈によって」取得した場合は非課税の適用は受けられません。相続を放棄した人が遺贈によって取得した場合も同様に適用外です。

●死亡退職金

死亡保険金と同様に、みなし相続財産として相続人が受け取った死亡退職金についても非課税枠があります。計算式は生命保険金等の場合と同様です。

退職手当金等の非課税限度額 = 500万円×法定相続人の数

●弔慰金等

被相続人の死亡により相続人等が受け取る弔慰金、花輪代などにも非課税枠があります。

非課税限度額
・業務上の死亡の場合: 賞与を除く普通給与月額の3年分
・業務外の死亡の場合: 賞与を除く普通給与月額の6ヶ月分

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2007年6月18日 (月)

葬式費用

前回の債務控除に引き続き、今回は葬式費用です。

●控除できる葬式費用

・通夜費用
・本(蜜)葬費用
・葬式前後に生じた費用で通常必要と認められるもの
・死体捜索、運搬費用

●控除できないもの

・法要費用(初七日、四十九日など)
・香典返戻費用(香典自体には相続税も贈与税もかかっていません)
・遺体解剖費用
・墓地、墓碑、仏壇購入費用
・医学または裁判上の特別措置に要した費用

相続を放棄した人や相続権を失った人(欠格、排除など)には、債務控除は適用されませんが、遺贈によって取得した財産があるとき、葬式費用を債務控除することは可能です。

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2007年6月17日 (日)

債務控除

相続税の課税価格の計算の際、債務および葬式費用は控除します(正味財産課税)。今回は、その中身についてくわしくみていきます。

●債務控除できるもの

・借入金
・住宅ローン未払い金
・返還する敷金(アパートの預かり敷金)
・未払い医療費
・被相続人に係る未払いの租税公課(所得税、住民税、固定資産税など)

●債務控除できないもの

・墓地購入未払い金(墓地は非課税財産であり、これらの取得・維持のために生じた債務は控除できません)
・保証債務(主たる債務者が弁済不能で、求償しても返還を受ける見込みがない場合に限る)
・遺言執行費用
・弁護士、税理士費用等
・延滞税などの付帯税

墓地や仏具は生前に一括で購入したほうがよさそうです。

葬式費用については次回。

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2007年6月16日 (土)

生前贈与加算

相続開始の3年以内に被相続人から贈与を受けた財産については、贈与ではなく相続財産とみなして、相続税の課税価格に加算します。(その分、すでに納付した贈与税は相続税額から控除します。)

・加算される財産の価額は、相続が開始したときの価額ではなく、贈与されたときの価額で評価します。
(例えば贈与時に700万円であった株が相続時に1,000万円になっていたとき、評価額は700万円となります。)

・相続や遺贈によって財産を取得した人が対象です。(例えば、相続や遺贈によって財産を取得しなかった人が、相続開始の年に係る相続人から財産の贈与を受けていたとしても、相続税の課税価格には加算せず、通常の贈与税が課税されます。)

贈与税の非課税財産は加算されませんが、贈与税の110万円の基礎控除は考慮しません。(例えば現金100万円の贈与は基礎控除の範囲内ですが、100万円全額が加算対象になります。)

配偶者の贈与特例控除(最高2,000万円)の適用を受けた場合は、その部分は相続財産に加算しません。例えば、贈与税の配偶者控除の適用を受け、2,500万円の財産の贈与を受けた場合、500万円を相続財産に加算します。

・特別受益制度と異なり、生計の資本などの財産に限定されません。

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2007年6月15日 (金)

みなし相続財産

本来は相続財産でなくても、被相続人の死亡を原因として相続人が受け取る財産で、実質的には相続や遺贈で受け取ったに等しいとみなす財産をみなし相続財産といいます。以下のようなものがあります。

1.死亡保険金(生命保険、損害保険等)

被相続人の死亡によって相続人等が受け取る生命保険金等のうち、被相続人が支払った保険料に対応する部分

2.死亡退職金等

被相続人の死亡によって相続人等が受け取る死亡退職金、功労金、慰労金、退職給付金等のうち、被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
(3年超に確定したものは、一時所得として所得税が課税されます。相続税の対象にはなりません。)

3.生命保険契約に関する権利

相続開始時に保険事故が発生していない生命保険契約(被相続人以外が契約者、被保険者)で、被相続人が保険料を負担しているもの。掛け捨て保険を除きます。

ちなみに、保険契約者が保険料を負担していた場合に、その者が死亡したときの生命保険契約に関する権利はみなし相続財産ではなく、本来の相続財産として相続税の課税対象になります。("本来"か"みなし"かの違いであって、相続税の対象であることには変わりありません。)

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2007年6月14日 (木)

相続税の計算1

相続の際、実際に相続税が発生する人は(様々な控除の仕組みがあるため)あまり多くはいませんが、以下のようにして計算します。

まず相続税算出の基礎となる課税価格(課税財産)を算出し、そこから基礎控除などを差し引いて、その額に応じた税率を乗じて算出します。

●課税価格として加えるもの

・(本来の)相続財産
みなし相続財産
生前贈与加算

●引き算するもの

債務および葬式費用
非課税財産

つまり、

課税価格=相続財産+みなし相続財産+生前贈与加算-債務および葬式費用-非課税財産

ということになります。

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2007年6月13日 (水)

相続の承認と放棄

相続を放棄したり、あるいはマイナスの財産がある場合に「マイナスの財産は相続した財産の範囲内で引き継ぐ」という選択をする場合に必要な手続きとはどんなものかをみていきます。

この「借金は相続した財産の範囲内で引き継ぐ」という条件付きの相続の仕方を限定承認といいます。借金のほうが多い場合は、相続する財産は単純計算で+-ゼロになりますが、例えば「プラスの財産を超える借金は引き継ぎたくないが、どうしてもこの掛け軸だけは欲しい」などという場合に有効です。

一方で、プラスの財産もマイナスの財産も無条件で引き継ぐやり方を単純承認といいます。仮に借金のほうが多い場合は、自分の財産をつぎ込んでまでその返済をしなければなりません。

限定承認あるいは相続放棄をする場合は、相続の開始があったことを知ったときから原則として3ヶ月以内に、その旨を家庭裁判所に申し出る必要があります。限定承認または放棄の手続きをしなかった場合は、単純承認をしたものとみなされます。

相続を放棄する場合は各相続人が単独で申し出ることができますが、限定承認をする場合は相続人全員で家庭裁判所に届け出る必要があります。相続人のうち1人でも同意しなければ(相続放棄している人を除く)他の人も限定承認できなくなります。

また、そのほか以下のような場合は単純承認したものとみなされます。

・相続人が相続財産の一部または全部を処分した場合
・相続人が相続財産を隠したり、私的に使ったり、故意に財産目録中に記載しなかった場合(相続の放棄や限定承認をした後でも)

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2007年6月12日 (火)

相続税の加算

相続人が支払う相続税は相続する財産の額等に依存しますが、それだけではありません。同じ額の財産を受け取っても、相続順位が下位の相続人は、2割増しの相続税を払います。配偶者や被相続人の一親等内の血族(親、子)およびその代襲相続人となる孫以外が2割加算の対象で、例えば兄弟姉妹などが2割加算の対象になります。

そのほか、例えば被相続人夫婦と養子縁組した孫Aが納付する相続税は2割り増しです。養子にすることにより法定相続人として数えられ、相続税における遺産にかかわる基礎控除額が1000万円増えますが、

この孫Aは「相続人の一親等内の(法定)血族」には含まれません。従来はこの「相続人の一親等内の(法定)血族」に含まれていましたが、H15年4月より、「相続人の一親等内の血族には、被相続人の直系卑属がその養子になっている場合は含まない」とされ、2割加算の対象になっています。(相続人の以前死亡などにより、孫Aが代襲相続人になっている場合はその限りではありません。)

・代襲相続人が相続放棄し、遺贈などにより財産を取得した場合は、2割加算になります。

→ 関連ページ「相続税の2割加算と贈与税額控除」へ。

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2007年6月11日 (月)

相続人と相続分あれこれ

今回は、相続人・相続分についての決まりを細かく見ていきます。以下のような決まりがあります。

●養子関係

・養子となった人は、実の親に対しても相続人になることができ、養親と実親の両方に対し相続権を持っています。
・なお、特別養子制度に従って養子縁組をした場合には、実親の相続権はなくなります。
・普通養子が親よりも先に死亡した場合で、普通養子に子がいないときは、実親と養子の双方が相続人となります。

●代襲相続関係

代襲相続は相続人が①相続以前に死亡している ②欠格 ③排除 の場合において、発生します。子が上記理由で相続人となれない場合は孫が代襲相続しますが、孫も死亡してひ孫が存在する場合はひ孫が再代襲します。つまり、子の代襲相続は無制限に下へと引き継がれていきます。
・被代襲者が被相続人の兄弟姉妹(第3順位)の場合は違います。この場合はその子(甥や姪)までが代襲相続人となることができ、兄弟姉妹の孫は不可です。

●相続分

・相続人の順位に、実子と養子、嫡出子と非嫡出子の区別による差はありませんが、非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1です。
・半血兄弟姉妹(父母の一方のみが同じ兄弟姉妹)の相続分は、全血兄弟姉妹の2分の1です。

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2007年6月10日 (日)

子の範囲 ~養子~

相続税は、基礎控除を超える相続財産がある場合にかかってきますが、その他様々な控除があり、実際に相続税を払う必要のある人は、相続する人全体の5%程度とも言われています(よっぽど財産がないと課税されない)。

基礎控除は以下のように計算します。

相続税の基礎控除額 = 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数 

子は法定相続人の第一順位ですが、子の範囲は前回みたとおりです。養子も子として扱われるわけですが、他人の子に限らず、自分の孫や甥、姪などを養子にすることもできます。そうすると、財産をたくさん持っている人は養子をたくさんもらっておけば、税金を安くすることができることになりますが、そうでもありません。

民法上は、相続人となる養子の人数に制限はありませんが、相続税法上の法定相続人の数は、実子がいる場合で養子は一人まで、実子がいない場合で2人までです。

ただし、下記に該当する養子は実子とみなし、法定相続人の数に算入される養子の数の影響をうけません。

・特別養子縁組によって養子となった者
・代襲相続人で、被相続人の養子となった者
・被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となった者(連れ子養子)

また、民法上は相続放棄人は相続人ではありませんが、相続税を計算する上では放棄者も法定相続人に含めます。つまり、法定相続人が相続放棄しても相続税の基礎控除額には影響はありません。

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2007年6月 9日 (土)

相続人としての子の範囲

被相続人の子は、第1順位の相続人です(配偶者は、他の誰が相続人になっても常に同順位で相続人になりますので、この場合配偶者と子が相続することになります)。被相続人に子がいる場合、被相続人の親や兄弟姉妹は相続できません。

子がはじめからいない場合は、第2順位である直系尊属(父母や祖父母)が配偶者とともに相続することになりますが、子が相続前に死亡していてその子の子(孫)がいる場合は、子のかわりに孫が、代襲相続人として相続します(配偶者と孫が相続することになります)。

代襲相続は、相続人(この場合子)が相続欠格排除により相続権を奪われている場合でも可能です。ただし相続人が相続放棄している場合は代襲相続できません。

●子の範囲

子は嫡出子(正式な婚姻関係のある夫婦の間に生まれた子)以外にも以下の範囲まで含めて子として扱われます。

・養子
・胎児
・非嫡出子 → 父または裁判所が認知

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2007年6月 8日 (金)

贈与とは? その2(贈与税の非課税財産)

前回、贈与税が課税される例をみてきましたが、では、贈与税が課税されない贈与とはどんなものでしょうか?

①法人と個人の間の贈与

法人から個人が贈与を受けた場合は、贈与税ではなく所得税(一時所得または給与所得として)が個人に対して課税されます。逆に、個人から法人への贈与は、法人の受贈益として法人税が法人に対して課税されます。個人の土地を会社名義にした場合も含まれます。

②離婚による財産分与

離婚の慰謝料に贈与税は課せられません。ただし、不当に過大な額である場合は課税されることもあります。

慰謝料として不動産を相手(例えば妻)に引き渡した場合は、渡した側(夫)に不動産の譲渡があったものとして譲渡所得税が課せられることになります。一方で、不動産を受け取った妻が将来再婚してその不動産を他人に譲渡した場合、譲渡差益に対して所得税が課税されます。

③扶養義務者から受け取った生活費や教育費

扶養義務者から生活費や教育費として贈与を受けた財産のうち、通常必要と認められるものについては贈与税は非課税ですが、その贈与された財産を預金したり、有価証券や不動産や自動車の購入資金に充てた場合には課税対象となります。

被相続人から、相続開始の年に贈与された財産

相続人または遺贈により財産を取得した人が、その相続開始の年に被相続人から贈与された財産は、贈与税ではなく、相続税の課税対象になります。つまり相続が発生することになった年の分は、贈与のつもりで贈与していても、相続として扱われることになります。 → 生前贈与加算

(その贈与を受けた人が相続人ではなく、遺贈によっても財産を取得していない場合は、被相続人から贈与された財産であっても贈与税が課税されます。)

なお、香典・贈答・祝物・見舞いなどの金品の贈与については、社会通念上相当であれば、贈与税は課税されません。社会通念上相当と認められる範囲を超えると、その部分には贈与税が課税されます。

以上が主なものです。

 →関連ページ「贈与税の計算の仕方」へ

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2007年6月 7日 (木)

贈与とは?

100万円の車をただで友人に譲ったら「贈与税」がかかります。10万円で譲ってもかかります。

そもそも「贈与」とは、当事者の一方が自分の所有する財産を無償で相手方に与えることによって成立する契約(諾成契約)です。「相続」や「遺贈」が一方的に成立するのに対し、「贈与」は相手の意思表示が必要です。

ではいったいどのような場合に「贈与税」が課税されるのでしょうか?

「贈与税」とは、基本的には個人から個人に財産を無償で移転(譲渡)した場合に、財産を取得した人にかかる税金です。そのほか、以下のような場合も贈与とみなされて贈与税がかかります(みなし贈与)。

①保険料を負担しない保険金: 

生命保険料の掛金を払わずに死亡保険金や満期保険金を受け取ったときに、原則として受け取った保険金の額に贈与税がかかります(保険料負担者と保険金受取人が異なる契約)。

②掛金を負担しない年金: 

例えば被保険者・年金受取人が妻、契約者・保険料負担者が夫である個人年金保険の場合。契約者・保険料負担者を妻にしておけば、年金受け取り時の所得税(雑所得)のみですみます。しかし、上記の契約形態の場合、妻が所定の年齢に達して年金受給権が発生した時点で夫から妻への贈与があったとみなされて、贈与税が課税されることになります(受け取り年金に対しては所得税もかかります)。

③低額譲渡:

冒頭の例です。例えば1,000万円の時価のものを対価400万円で譲渡したとき、差額600万円に対して贈与税が課せられます。

④債務の免除による利益

自分の名義で組んだローンを、親に返却してもらっている場合など。また、親から借金をして返済していないときも贈与税が課せられます。

 → 関連ページ「贈与税の非課税財産」へ

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2007年6月 6日 (水)

遺産分割の具体的な方法

相続した財産が現金だけならともかく、実際は不動産などそのままでは分割が困難な財産もあります。具体的な分割方法には以下のようなものがあります。

●現物分割

個別の遺産についてあるがままの姿で相続する数量、金額、割合などを決める方法です。例えば土地は配偶者、有価証券は長男、現金を長女、などとする方法です。

●換価分割

共同相続人が、遺産の全部または一部を金銭に換価し、その代金を分割する方法です。

●代償分割

相続人のうち特定の人が現物遺産の多くを相続する代わりに、他の相続人に自分の固有財産を交付する方法です。

例えば、遺産が4000万円の家と土地だけだとして、相続人の兄弟が2人で平等に相続する場合。遺産である家や土地を売却せずに兄が全部相続し、弟に対して2000万円分の自分の財産を交付するやり方です。

相続した2人はそれぞれ2000万円分の財産を相続したとして相続税が課税されます。 (贈与税は課税されません。)

兄が2000万円分の自分の財産を交付する際、現金であれば相続税のみの課税(家と土地を相続したことによる相続税)になりますが、自分の持っていた有価証券や不動産を弟に提供した場合には、譲渡所得として別途所得税・住民税が課せられます。

(相続に関係なく、有価証券や不動産を譲渡した際には譲渡益に対して所得税・住民税が課税されますが、これが「代償分割の提供財産として差し出したときに、所得税・住民税の課税がなくなるわけではない」というだけのことかと思います。)

●共有分割

財産が土地である場合などに、複数の相続人で共有する分割の仕方です。代償分割では、土地を相続した人は代償金として現金などを支払う必要がありますが、この共有分割の場合はその必要はありません。しかし、共有財産にした場合、将来次の相続が発生した場合にこの共有財産を分割するのが困難になる場合もあります。

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2007年6月 5日 (火)

遺産分割

遺産分割の方法には、以下のようなものがあります。

①指定分割

遺言で指定された分割方法です。被相続人は、遺言で分割の方法を定め、また分割方法を定めることを第3者に委託することができます。遺言による分割指定の方法は、遺産の全部だけでなく一部について行うこともできます。

協議分割

相続人全員で協議し、分割方法を決めます。全員の同意がある場合は、遺言に従う必要はありません。

③調停・審判による分割

協議分割で調整がつかなかった場合、家庭裁判所の調停や審判によって分割方法を決めます。調停は、第三者が間に入って話しあい、意見調整をするものです。調停が成立しない場合は、裁判官の裁判により分割方法を決めます。これが審判です。審判が確定すると、指定された方法で分割を行います。しかし共同相続人全員の合意がない限り、法定相続分に拘束されます。

具体的な方法は次回へ

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2007年6月 4日 (月)

遺留分減殺請求

●遺留分減殺請求

遺留分の減殺請求権は、相続の開始およびその遺留分の侵害を知ったときから1年以内に行使しなければ、遺留分を取り戻すことはできなくなってしまいます(遺言に従うことになります)。また、知らなかったとしても相続開始後10年を経過すると時効になってしまいます。

●遺留分算定の基礎となる財産

・相続開始時に(被相続人が)有していた財産の価額
・相続人に対する生前贈与
・相続人以外に対する1年以内の贈与(遺留分を害することを知ってなされたときは、1年以前の贈与も含みます)

これらの財産を合計したものから債務を差し引いたものとなります。

●遺留分の計算例

被相続人に、配偶者と子2人がいる場合で、1億円の財産を愛人と孫に5,000万円ずつ遺すという遺言であった場合、遺留分は?

まず遺留分権者は配偶者と子2人で、この3人の遺留分合計は全体の1/2つまり5,000万円です。(3人合わせて5,000万円取り戻す権利があります。)

このうち配偶者の遺留分は遺留分全体の1/2なので2,500万円、子はそれぞれ1,250万円ずつです。

遺留分侵害者は愛人と孫であり、この2人に対してそれぞれいくらの遺留分減殺請求できるかというと、

この2人は同額を侵害しているので
・配偶者はこの2人に対して1,250万円ずつ
・子2人はそれぞれ、この2人(愛人と孫)に対して625万円ずつ遺留分減殺請求できます。遺留分を侵害された3人が侵害した2人から減殺請求できる額の合計は5,000万円になります。

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2007年6月 3日 (日)

遺言は絶対? その2

●協議分割

遺言により、被相続人が相続人に相続させる財産やその割合を指定(指定相続分といいます)していたとしても、相続人全員の同意がある場合はこれに従う必要はありません。同様に、この場合は法定相続分※1(民法で定められた相続割合)に従う必要もありません。このような、遺産分割にかかわる話し合いを「遺産分割協議」といいます。

※1: 法定相続分
法定相続人はまず第一順位が相続し、第一順位がいなければ第二順位・・・というように相続の順位が決まっています。第一順位=子、  第二順位=直系尊属、  第三順位=兄弟姉妹であり、被相続人の配偶者は常に相続人となります(例えば被相続人に子がいれば、配偶者と子の両方が相続人)。法定相続分は以下のようになります。

①相続人が配偶者のみ: すべて(100%)配偶者が相続
②配偶者と子の場合:   配偶者が1/2、子全体で1/2
③配偶者と直系尊属:   配偶者が2/3、直系尊属が1/3
④配偶者と兄弟姉妹:   配偶者が3/4、兄弟姉妹全体で1/4

●遺留分

遺言の内容に、「家族には全く相続させずに全部寄付する」あるいは「愛人に全部渡す」などと書かれていたらどうするのでしょうか?

被相続人の財産形成には、本人以外の貢献があったと考えられるでしょうし、また残された家族の生活もあります。相続人にとってあまりに不利益な事態となることを防ぐため、被相続人が自由に処分できる財産の割合には制約がもうけられています。この、一定の相続人(※2遺留分権者)に留保された、相続財産の一定割合を「遺留分」といいます。

※2:遺留分権者は、被相続人の配偶者、子、直系尊属(父母)です。遺留分の割合(合計)は以下の通りです。

・相続人が直系尊属のみの場合: 相続財産(正確には、遺留分算定の基礎となる財産)の3分の1
・上記以外(すなわち、配偶者、子どものいずれかがいる場合): 同様に2分の1

各法定相続人の遺留分割合はこちら 

相続人が、兄弟姉妹のみの場合、遺留分はありません。

しかし、遺留分を侵害する内容の遺言であっても、遺言が無効になるわけではありません。遺留分権者が遺留分を取り返す権利(遺留分減殺請求権)を行使するかどうかは自由です。この権利を行使しない場合は、遺言通りになります。

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2007年6月 2日 (土)

遺言は絶対? その1

遺言は、15歳以上で意思能力のある人なら、だれでも、単独で作成することができます。未成年でも、保護者の同意なしにできます。

遺言の内容は個人の自由ですが、書いたら何でもその通りになるというわけではなく、法的な効力をもつ遺言の内容は民法で主に以下のように決まっています。

①財産の処分 (相続人以外への遺贈

②子どもの認知 (認知された子どもは相続人になります)

③相続人の廃除 (著しい非行があったり、自分に対してひどい行為をした相続人の相続権を奪うこと)とその取り消し

④相続分の指定 (法定相続分に関係なく、各相続人の割合を決められます)

⑤遺産分割方法の指定

遺留分減殺方法の指定 (遺留分権者にその行使方法を指定する)

⑦遺言執行者の指定

⑧後見人の指定(未成年者の親権者が不在の場合の後見人を指定する)
 後見監督人の指定(未成年者後見人などを監督する者を指定する)

⑨相続人相互の担保責任の指定 (瑕疵のある権利を相続した者に対する責任を免除するなど)

⑩遺産分割の禁止 ・・・ 死後5年間有効。ただし、10ヶ月以内に一旦は納税する必要があります。

などです。

①~③については生前行為としても遺言としても行うことができますが、④~⑩は遺言でのみ指定できる事項です。

上記以外のことが遺言に書かれていても法的拘束力はなく、亡くなった人の意思を尊重するかどうかは遺族の判断にまかされます。

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2007年6月 1日 (金)

相続 (欠格と廃除 代襲相続)

●相続

相続とは、亡くなった人の財産を、残された家族などが引き継ぐことです。亡くなった人が被相続人、財産を引き継ぐ人が相続人で、この相続人に課せられる税金が相続税です。

相続人になれる人は民法で定められており(法定相続人)、その順位も決まっています。それ以外には遺言で指定された人が財産を受け取ることができます(遺贈)。

●相続欠格

相続人となれる人でも、例えば詐欺や脅迫などによって被相続人に遺言させるなど、不正な利益を得るために違法な行為をしたり、相続争いに絡んで殺人を犯した場合は、相続人の資格を失います。民法で掲げたこれらの事由を「相続欠格事由」といい、これに該当して相続人としての地位を失うことを「相続欠格」といいます。被相続人が遺言において、その人に遺贈する旨を書いていても、認められません。

●相続廃除

また、相続欠格に該当するほどではなくても、虐待、重大な侮辱、著しい非行があった場合に、被相続人の意志によって、相続の権利を奪うことを「相続人の廃除」といいます。被相続人が家庭裁判所に請求して、家庭裁判所が認めれば相続権が失われます。遺言で廃除する旨を記載しておくこともできます。

廃除の取り消しはいつでも可能です。

また、廃除の対象者は、遺留分を有する推定相続人(将来相続人となる予定の人)なので、兄弟姉妹以外の推定相続人ということになります。兄弟姉妹に相続させたくない場合は、遺言でその旨を記載すれば可能です。

●代襲相続

相続人が相続の開始以前に死亡したり、相続欠格や相続廃除によって、相続権を失っているとき、その子供が相続するというものです。例えば相続人である子が親よりも先に死亡している場合は、その子にかわってその子の子(孫)が代襲相続します。代襲相続する人を代襲相続人、される人を被代襲者といいます。

相続人が相続放棄している場合は、その相続人の子などの直系卑属は代襲相続することはできません。

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