2.タックスプランニング(税金対策)

2015年1月17日 (土)

配当金 確定申告するかしないか その2(専業主婦の場合)

前回からの続きです。配当金を確定申告するかしないか、以下、タイプ別に1つ1つ見ていきます。

●専業主婦の場合(配当収入以外には主にパート収入のみ100万円以下、つまり所得税、住民税(所得割)ともに非課税水準)

パート収入を安く抑えている人であっても、配当所得の水準によっては、配当を確定申告したほうがいい場合、しない方がいい場合などあります。

(1)(確定)申告不要制度を選択し、確定申告しない場合
一定の上場株式等の配当については、配当金額にかかわらず申告不要制度を選択できます。確定申告が面倒な場合、これでも構わないのですが、配当控除は受けられません。

 一方で、配当が多額の場合、確定申告することにより配偶者控除が受けられなくなったり、翌年の社会保険料(国民健康保険料など)が上がってしまったります。そのような場合はこの(1)を選んだ方がおトクになる場合もあります。詳細は後述します。

(2)総合課税を選択し、確定申告する場合
配当控除を受けることができます。所得の金額(パートの所得と配当所得などの合計)が少ない場合は、これを選択することで節税することができます。

A: パート所得の額や配当の額が少ない場合(目安としてパートの所得+配当所得が38万円以下ですが、正確には所得控除の額によります。)は、源泉徴収された所得税がそのまま返ってきます。(別途、住民税も全額あるいは一部還付されます。)

B: 所得がもう少しある場合
まず「合計所得金額」が38万円を超えると配偶者(夫など)が税金計算の際に「配偶者控除」を受けられなくなり、段階的に「配偶者特別控除」がされることになります。もっと増えると「配偶者特別控除」も適用されなくなります。また、国民健康保険の加入者の場合、総所得金額等が増えると保険料も上がります。これらデメリットを考慮する必要があります。

C: 次にさらに所得が増え、「合計所得金額」>「所得控除の合計額」 の場合
 所得税や住民税が課税されますが、所得がまだ少額のうちは源泉徴収時の税率と比べて低くなります。すなわち
・源泉徴収時: 所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%

・総合課税を選択し確定申告: 所得税5.105%+住民税10%=合計15.105%

以上のように、所得が少額の場合は住民税率は上がりますがそれ以上に所得税率が下がるので節税につながります。

 つまり合計所得金額の水準が低いうちは、所得税率が低いので、総合課税を選択し確定申告すると節税となります。ただし前述のように配偶者(特別)控除がなくなったり、社会保険料が上がるデメリットは考慮する必要はあります。

D: さらに所得が増え、所得税率が20%などの水準に達した場合は、配当控除を受けるメリットはないでしょう。

(3)申告分離課税を選択し、確定申告する場合
これは2009年に証券税制が変わったことにより、新たな選択肢となりました。株式等の譲渡損失がある人が検討する選択肢です。配当所得(プラス)を、上場株式等の譲渡損失(マイナス)と損益通算できるようになったのです。
しかし、株式等の譲渡損失がある人はすべて(2)よりも(3)を選んだ方がよいかはわかりません。(3)を選ぶと通算によって、配当所得を減らすことができますが、配当控除を受けることはできません。一方で(2)を選ぶと、所得の水準によっては所得税+住民税の税率を下げることもできます。(上記(2)Cの記述参考)

さらに、(3)を選択して上場株式等の譲渡損失と損益通算をすると、上記(2)で「配偶者控除」の対象外となってしまう場合でも、(3)ではそうならないこともあります。(「合計所得金額」は通算後の数値で計算されるためです。)総所得金額等で判定する国民健康保険料等の計算についても同様です。

また、株式等の譲渡損失は確定申告により3年間繰り越すことができるので、(3)を選ばないことにより来年以降で大きく利益を出せそうな場合に枠をとっておくこともできます。

いずれにしろ、「どれを選択すればよいか」はケースバイケースで、様々な条件を比較検討して、それぞれシミュレーションしてみる必要があります。

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2015年1月16日 (金)

配当金 確定申告するかしないか その1

上場株式等の配当等に関する課税関係は2009年(H21年)以降変更されています。詳細は以前記載しておりますのでこちらをご覧ください。


もともと一定の上場株式等の配当等につきましては「確定申告不要制度」というものがあり、確定申告の必要はありません。配当を受ける際に(源泉徴収なしの特定口座を選んでいても)すでに所得税、住民税が源泉徴収されており、課税関係が終了しています。この点につきましては「源泉分離課税」と似ています。

上場株式等の配当等の課税関係につきましては、上記を含め以下の3つの選択肢があります。(詳細は国税庁のHPをご覧ください。)

ではどれを選んだらよいのでしょうか?
(1)(確定)申告不要制度を選択し、確定申告しない
(2)総合課税を選択し、確定申告する
(3)申告分離課税を選択し、確定申告する

次回以降、
●専業主婦などの場合
●年金生活者などの場合
●サラリーマンなどの場合
を例にみていきます。

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2014年4月15日 (火)

今すぐ始める!消費税増税分を少しでも取り戻す方法

4月から消費税が増税され、そのほかにも消費財の種類によっては新しい税が導入されたりするなど、家計には痛手となっています。慣れれば値上がりした値段でもどうってことなくなってしまうのでしょうが、そうなる前に、家計に少しでも役に立つ習慣を身につけておきませんか?

新しい作業は慣れるまでは手間に感じるものですが、一度身につけば習慣となり、やがて「当たり前」のことになります。今、身につけておくことで、小さな数%の貢献の積み重ねが長年の間に数万~数十万円以上の大きな効果となるでしょう。

今回おすすめするのは、チケットショップ(金券ショップ)やネットオークションの活用です。これらの店やサイトでは、さまざまなものが流通しています。多くの人が利用するものとして切手、はがき、切符などが挙げられます。

これらは郵便局や駅で購入するものと同じ価値がありながら、場合によっては10%近く安く購入できるものもあります。特に切手は、同じ額面でも記念切手は普通切手よりも安く売られています。切手はゆうぱっくを利用する場合にも使えるので送料を安くしたい場合に便利です。(もっとも、送料そのものを他社と比較する必要はありますが。)

切符は、回数券がバラ売りされています。私鉄の場合は利用曜日や時間帯により、さらに安い切符が売られています。例えば昼間のみに利用できるもの、土日休日のみに利用できるものなどがあります。4月に販売されているものは、まだ増税前に発券されたものもあるのでさらにおトクです。

チケットショップは新宿や神田など都市部の激戦区では特に安いです。地方に住んでいる場合はチケットショップのお世話になることは少ないかと思いますが、ヤフオクなどのネットオークションが便利です。

これから始める人は登録などの手続きが面倒なのと、送料がその都度発生することがデメリットですが、商品の種類によってはチケットショップよりも安く流通しているものもたくさんあります。

例えばVJAやJCBなどの、さまざまな店舗で使えるギフト券(商品券)も便利です。チケットショップでは98%をやや上回る場合が多いですが、ネットオークションでは送料込みでもそれ以下で買える場合もあります。

大手のスーパーなどでは、これらのギフト券を使用できる場合があります。おつりが出ないなどの制約もありますが、毎日の食材が2%安く買えたことになるなら消費税の増税は1%の負担で済みます。

実際に、ギフト券などをどこかで安く購入して、日々の支払いに使うというのは結構な手間です。ただし、「手間」と感じるのはそれが新しい生活スタイルだからです。

冒頭にも書きましたが新しいことでも、続けていると当たり前になり、習慣になり、面倒でなくなります。始めるのは「今でしょ!」(もう古いですね!苦笑してください。)

ところで最近よく「消費税0%」とうたっているものをよく見かけますが、勘違いをしないように注意が必要です。

例えば「ヤフオク(旧ヤフーオークション)は消費税0%」という表現ですが、実質的にはそうではありますが個人的には違和感のある表現です。

「今まで消費税が課税されていたものがこの4月から軽減された」のだとしたらわかりますが、そうではありませんし、そもそも個人間のオークション取引は最初から消費税は課税されません。店舗と同じように新品が出品されている場合もありますが、一度は人の手に渡ったものでありますし、本当に新品かどうかは出品者を信用するしかありません。

さらに、ネットオークションであっても、個人出品者でなく事業者(ストア)から購入する場合には消費税がかかります。

ですので「消費税0%」だからヤフオクで買おう、という思考回路ではなく、ネットで購入する商品は送料がかかることや出品者とのやり取りの手間、リスクも加味した上で、その合計の価格をふまえて比較すべき(実店舗あるいはネットオークション以外のネット取引での購入との比較)と思います。

(そういう私は、ネットオークション否定者ではなく、とてもありがたいものと思って活用しておりますが。)

ちなみに「送料無料」も魅力的ですが、購入者にとってこれははじめから商品価格に組み込まれているのと同じですので、(無料はなんとなくうれしいですが)比較はあくまで総額でするものです。

ご参考まで、消費税が課税されない取引には以下のようなものがあります(例外もあります)。

・個人から買う家(業者からの場合は課税)

・土地の売買、貸付

・賃貸住宅の家賃(事業用は課税)

・保険料

・出産費用

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2011年11月16日 (水)

個人住民税

住民税には、個人住民税、法人住民税があります。

一般的には個人住民税のことをさしている場合が多いと思います。

個人住民税には「道府県民税」(東京都の場合は都民税) と 「市町村民税」(東京都特別区の場合は特別区民税)があります。

前年(1/1~12/31)の所得に対して、道府県民税は4%、市町村民税は6%課税されます。これらは前年の所得に応じて決まるので「所得割」と呼ばれます。

一方、前年の所得額に関係なく一律に課税されるのが「均等割」と呼ばれる部分です。道府県民税の均等割額は1,000円、市町村民税の均等割額は3,000円と決まっています。

(追記: H23年(2011年)に決まった復興増税により、H26年(2014年)6月からH36年(2024年)5月までの10年間、この住民税の均等割額が1,000円アップし、合計4,000円から5,000円になることが決まっています。)

これらとは別に住民税には「利子割」「配当割」というものもあります。

「利子割」とは、預貯金や公社債の利子、公社債投資信託の収益分配金などを受け取る際に源泉徴収されている住民税です。

「配当割」は、同じように公募株式投資信託の収益分配金、上場株式等の配当金を受け取る際に源泉徴収されている住民税です。

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2011年10月 1日 (土)

103万円の壁

「パート収入は103万円以下に抑えたほうがいい」とよく言われます。

これを境に配偶者(主に夫)の所得税が増え、またパート本人も所得税がかかりはじめるからです。

配偶者控除:

まず、103万円を超えると所得控除の1つである「配偶者控除」が配偶者(主に夫)の所得税計算の際に適用されなくなり、夫の税金が高くなります。「配偶者控除」が適用されるためには、配偶者の所得が38万円以下である必要があるのです。(パート収入が103万円の場合は、給与所得は103万円-65万円=38万円として計算されます。)

配偶者控除の控除額は所得税の場合原則38万円なので、適用されれば夫の所得額を38万円少なくすることができます。(70歳以上の配偶者の場合は48万円になります。)

「配偶者控除」は住民税にも適用があります。この場合、住民税計算の所得控除額は原則33万円、70歳以上の配偶者の場合は38万円となります。

また、103万円を超えるとパート収入者本人も所得税を負担する必要がでてきます。ですので、パート収入103万円を気にする人が多いのです。

配偶者特別控除:

一方でパート収入が103万円を超えても「配偶者特別控除」というものがあり、配偶者(主に夫)の所得を減らすことに貢献はできます。パート収入の金額に応じて段階的に配偶者の所得控除(配偶者特別控除の適用額)が減っていく仕組みです。夫婦の税金が多少増えても、収入自体が増えるので、次に説明する130万円の壁ほど気にする必要はないかと思います。

ただ、103万円という金額だけにこだわるのは危険です。103万円の前後で本人および配偶者の所得や税金がどのようにかわるか、専門家等に相談して把握しておいたほうがいいでしょう。

住民税の壁:

一方で、パート収入103万円未満の場合、本人に所得税はかかりませんが住民税がかかる場合があります。例えばパート収入102万円の場合、税額計算上の所得(給与所得)は37万円となり、住民税の基礎控除額は33万円なので所得控除後の額は37-33=4万円となります。この所得4万円に対して住民税の所得割(4万円×税率)と、定額の均等割が発生します。

住民税に関して、基礎控除額を控除した後の金額がゼロになるパート収入は98万円ですが、住民税(所得割)がかからない前年の総所得金額等のラインは35万円(全国一律)なので、実際にはパート収入が100万円を超えると住民税(所得割)が発生することになります。

ちなみに住民税には所得割のほかに均等割という一律定額の住民税があり、この均等割が発生する所得(前年の合計所得金額)の基準は住んでいる地域の生活保護基準の級地区分というものによってことなります。パート収入に換算すると100万円の場合のほか、97万円や93万円の場合があります。

なお、住民税の所得割、均等割に関しては、課税されるラインは扶養親族の数によって変わってきます。例えば主にパート収入のみで子供を扶養している場合、もっと収入があっても住民税が非課税になります。

130万円の壁:

100万円、103万円よりさらにパート収入が増えた場合はどうなるでしょうか?上記100万円、103万円という数字は本人および配偶者の所得税、住民税に関係する部分ですが、これとは別に130万円の壁もあります。

これは税金ではなくて社会保険料などに響いてくる話です。収入が130万円未満の場合(他にも適用条件(就労集30時間以上など)はあるのですが)、扶養配偶者としてみなしてもらえます。この場合、パート収入者本人の国民年金保険料や、健康保険料などの社会保険料の負担はありません。

収入が130万円をこえ、扶養から外れることにより、社会保険料の本人負担が発生します。

ですので、130万円をちょっと超えたくらいの収入では、実質的に可処分所得は逆に減ってしまいます。収入増の場合は、大きく増える方法を考えたほうがよさそうです(目安として、150-170万円)。

もう少し詳しくみていきます。夫婦のどちらか一方にほとんどの収入を頼っている世帯において、配偶者(主に夫)の所得が1,000万円以下の場合は130万円の壁だけを気にすればよいと思います。先ほど書きましたが130万円を超えると手取りがガクッと落ち、130万円未満の時の手取り水準を得るには、150-170万円の収入まで高めていく必要があります。しかしながら一方で130万円でも140万円でも170万円でも、収入に対する手取りの比率は、あまりかわりません(例えば手取り比率70%程度)。つまり130万円超の場合は働けばそれに比例して一定の割合で手取りも増え、労働効率としてはほぼ一定なので、「165万円まで収入を増やさないと意味がない」などと考える必要はないのが本来です。

さらに、2016年10月からは、106万円がひとつの壁になる予定です。年収106万円(就労週20時間)以上の場合、社会保険料を自分で負担することになります。

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2010年10月 4日 (月)

要介護認定で障害者控除

要介護認定を受けると、障害者控除の適用対象になる可能性があります。市区町村に申請して「障害者控除対象認定者」の交付を受けられれば対象になります。

本人やその配偶者、その他親族(配偶者控除や扶養控除を受けられる人)が障害者や特別障害者(障害の程度が重い、重度の障害者)である場合、以下の控除の対象になります(障害者一人当たり)。

・「障害者控除」: 所得税27万円、住民税26万円

・「障害者特別控除」: 所得税40万円、住民税30万円

また、満70歳以上の扶養親族については特別障害者の認定を受けると控除額は以下のようになります。

・老人扶養親族(同居していない場合): 所得税83万円、住民税61万円

・同居老親(同居している老人扶養親族): 所得税93万円、住民税68万円

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2010年10月 1日 (金)

平成23年以降扶養控除の制度が変わります

平成22年度の税制改正により、扶養控除の制度が変わりました。平成23年分以降の所得税(1年遅れで住民税も)について適用されます。

1.16歳未満の扶養控除の廃止(一般の扶養親族について)

扶養親族については今までは所得から38万円の控除(住民税は33万円)が適用できましたが、年齢制限がつくようになり、16歳以上の扶養親族のみが適用対象となりました。(「控除対象扶養親族」と呼びます。)

これに対する措置としては2010年4月から子供手当てが支給され始めています。中学3年生までの子供に対して、一人当たり現時点では月額13,000円が支給されています。これらの措置により世帯の所得が増えるか減るかは、世帯によってかわります。

2.特定扶養親族の対象年齢は19歳以上23歳未満に限定

控除対象扶養親族のうちその年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人を新たに「特定扶養親族」と呼びます。平成22年分までは対象は16歳以上23歳未満でしたが範囲が狭くなりました。つまり、今まではほぼ高校生・大学生が相当していましたが大学生のみになります。

これに対しては、高校の授業料無償化などの措置がとられます。

一方、16歳以上19歳未満(高校生)については今まで特定扶養親族として控除額が63万円だったものが今後0円になるわけではなく、一般の控除対象扶養親族として38万円の控除額になります。(住民税は、45万円の控除だったものが、33万円に。)

なお、住民税については1年遅れの平成24年6月分から適用になります。

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2009年6月 6日 (土)

非課税の預金 「納税準備預金」

一般的な預金では、利子の20%は所得税・住民税として源泉徴収されますが、この利子に対して課税されない預金があります。

「納税準備預金」というもので、用途は納税に限ります。どんな種類の税金に使ってもかまわないのですが、目的以外で引き出すと通常のように課税されます。

サラリーマンですと所得税や住民税は給与から天引きされるので使う機会は少ないかもしれませんが、自動車関係の税金や住宅関係の税金(固定資産税など)は通常は勤務先とは切り離されて納税していると思います。一方で個人事業主の方は利用できる機会が多いかもしれません。

引き出し方ですが、専用の通帳と税金の納付書(税務署から納税者に送られてくるもの)を金融機関の窓口にもって行き、引きだします。

面倒ではありますが、少しでも有利な預金ということで利用価値はあると思います。

なお、預金とは違いますが投資信託などの運用益に対して課税されない金融商品があります。確定拠出年金がこれに相当し、年金用途に限った運用であるためこれも課税関係で優遇されています(詳細はこちら)。

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2009年4月 8日 (水)

配当所得を過去にさかのぼって申告したいとき その3(裁決事例)

前回からの続きです。

「配当所得は申告しなかったけど、申告することも出来たのだったら今からでも申告したい」という場合について、前回示しましたように国税庁は「できない」という判断をしていますが、これを不服とし、国税不服審判所に申し立てをされた人の(拍手すべき?)事例がいくつもあります。(国税不服審判所の裁決事例を以下で検索できます。キーワードに「配当所得」「更生の請求」と入力すると20件程度ヒットします。)http://www.kfs.go.jp/cgi-bin/sysrch/prj/web/pub/editCriteriaByKeyword

結論からいいますと、複数ある裁決の結果はやはり同じで、申立人の主張は認められていません。

国税不服審判所の裁決理由は多くの事例において、以下のような感じです。『更正の請求が認められるのは、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「当該計算に誤りがあったこと」の二つの場合に限られている。』(国税通則法第23条第1項)
つまり、配当所得を申告しないのも(意図的であったか否かにかかわらず)1つの「正しい」やり方であり、誤りではないからというもの。これはその部分だけみれば確かにそうかもしれません。

○「申告不要制度は」積極的な判断なのか?
一方で、審判所の判断として多く見られるのが、各申立人について「申告不要制度を自分の意思で選択している」とみなしているところです。「いや、その判断は、違うでしょ」というのが多くの一般人の意見かと思います。つまり、「申告不要制度」などよく知らず、また配当金を受け取る際に税金が源泉徴収されているのだから、申告する必要はないだろうと考えるのが普通であって、(申告不要制度を)「主体的に選択した」と思っている人はほとんどいないと思います。
「錯誤」していたとみなせなくもないと思うのですが、こういう人たちに対する救済措置が現実としてない、ということになります。(審判所の裁決は、配当所得を申告できるということを「知らないお前達が悪いんじゃ!」といわんばかりです。)

○時間がたったからダメということ?
別の見方です。そもそもその年の申告期限内に配当所得も申告していればすんなり通っていたわけです。仮に、一番最初に配当所得を申告せずに書類提出した後であっても、その年の期限内(通常3/15)であれば、あとから配当所得を申告しなおせば、通るわけです。でも3/15を過ぎた後では、たとえ更生の請求の期限1年以内であっても、ダメ、ということになります。
つまり、「時間がたったからダメ」ということになります。このように考えると、なかなか腑に落ちないものです。

○結論
前例主義である以上、さかのぼっての配当所得の申告が今後認められる可能性は低いでしょう。税務署や審判所・裁判所の人たちが、配当所得の申告に関して申立人たちと同じ経験をしていれば別かもしれませんが・・・。

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2009年4月 7日 (火)

配当所得を過去にさかのぼって申告したいとき その2(国税庁の判断)

前回からの続きです。

●まず逆の場合から。つまり、過去の確定申告において、「配当所得について確定申告(=総合課税を選択)したが、やっぱり配当所得については申告から外したい(申告不要制度を選択)」と思った場合。

これに関しては、「できません」ということが租税特別措置法関係通達8の5-1に記載されています。http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/801226/sinkoku/57/08/06.htm

●では次に今回のケース。つまり上記ケースとは逆に「配当所得は申告しなかったけど、申告することも出来たのだったら今からでも申告したい」という場合。国税庁は以下のような解釈をして「更生の請求はできません」としています。http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/07/01.htm

しかし、その解釈の根拠の1つは「租税特別措置法第8条の5第2項」です。この法律(http://www.houko.com/00/01/S32/026.HTM)に記載されていることは極端に言うと「配当所得については総合課税とは別計算でもいい」くらいのことであって、「今回のような更生の請求はできない」と解釈するには無理があるようにも感じます。つづきは次回へ。

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