6.相続・事業承継

2009年6月 3日 (水)

贈与税の非課税枠拡大へ(住宅取得資金限定、2年で500万円)

2年間の時限措置ではありますが、2009~2010年に受けた両親や祖父母からの住宅取得資金の贈与に関して500万円の非課税枠が創設されるため、税金面でより有利に住宅を取得できるようになります。以下、詳細です。

・従来からある、年間110万円の贈与税の非課税枠(暦年課税)とは別に設けられます。
・用途は住宅取得に限られます。
・両親のほかに、直系の祖父母からの贈与でも適用可能です。
・非課税枠は500万円ですが、これは1年間ではなく2年間を通して500万円です。
・今回の仕組みを利用して贈与を受けても、相続時の相続税額計算には影響しません。
・相続時精算課税制度(住宅取得資金の場合は3,500万円まで贈与税は非課税で、相続発生時に相続税の対象として課税対象額に算入)と併用して利用することも出来ます。

では親から住宅購入資金を贈与された場合、暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択したほうが、納税額として有利になるでしょうか?以下、ケースごとにみていきます。

1.贈与額500万円以下: 税の負担はありません。
2.贈与額500万円超:
 (1)将来相続税がかからないと思われる人: 相続時精算課税のほうがおそらく得。
 (2)将来相続税がかかると思われる人:
 贈与額が610万円以下であれば、暦年課税の方がおそらく得。
 贈与額が610万円超の場合はケースバイケース。

例えば、3,000万円の住宅資金贈与を親から受ける場合。
・相続時精算課税制度を選択した場合: 非課税枠500万円を除いた2,500万円が、相続発生時に相続財産として算入されます。
・暦年課税制度を選択した場合: 610万円までは贈与を受けても非課税になるので、残り2,390万円が課税対象になりますが、2,390万円相当部分の家の名義を親名義にしておくと「贈与」扱いにはなりません。親が亡くなり相続が発生したときには相続財産としてカウントされますが、建物や土地の相続税評価額は通常は時価よりも安くなるので、2,500万円が相続財産として算入される「相続時精算課税」の場合よりも有利になります。

○2010年5月追記) 非課税の上限が1,500万円(2010年年内)、1,000万円(2011年年内)までに拡大されました。 

○さらに追記) 2012年以降も「住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税特例」は継続しており、以下のようになっています。

耐震・エコ住宅 1,500万円(2012年)、1,200万円(2013年)、1,000万円(2014年)

一般住宅  1,000万円(2012年)、700万円(2013年)、500万円(2014年)

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2009年4月 3日 (金)

共同相続人の相続税滞納時は、自分が実質的に連帯保証人

相続税・贈与税には「連帯納付義務」というのがあります。「共同相続人は、その相続税額について相互に連帯納付義務を負う」というものです。贈与税の贈与者等にも適用されます。

例えば親が亡くなり、兄弟で財産を相続した場合。兄が相続税を滞納した場合は、弟のところに督促状がきます。逆の場合も同様です。督促状発出から10日以内に税金を完納しないと、差し押さえなどの滞納処分が開始されます。

また、亡くなった親自身が相続税などを滞納していた場合は、その相続人(=子どもなど)すべてが親の分の相続税も連帯して納付しなければなりません。

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2009年4月 1日 (水)

個人年金保険を相続した場合の税金(二重課税)

個人年金保険を相続した場合、「今後年金を受け取れる」という権利(年金受給権)に対して相続税が課せられます。課税金額の基準になるのは年金の「現在価値相当額」です。例えば既に年金を受給している人が死亡し、年金を相続した場合は、受け取る残存期間に応じて課税額を計算します。

相続税の課税が終了し、実際に相続人が毎年年金を受け取る場合、この年金に対しては税務署は雑所得として毎年所得税を課します。一方でこの、「相続税を課税しておいてさらに所得税を課税する」という二重課税については法定で争われることもあり、裁判所の判断は違法か合法か意見がわかれるようです※。

個人年金を相続した際に年金を毎年受け取るという選択をせず、一括支給を受けると所得税は課税されず、相続税のみの対象になります。受給額については、一括で受け取る分、年金総額の90%弱で評価されるようです。

※夫の生命保険を相続し、年金形式で毎年受け取っていた保険金に対し、(相続時にすでに相続税の課税対象となっていたものに対してさらに)所得税を課するのは二重課税で違法であるという判決が、2010年7月に最高裁で下されました。今後(あるいは遡って)、年金形式で保険金を受け取る保険商品についてこの考え方が適用されることになります。ちなみに所得税法には「相続、遺贈、または個人からの贈与により取得するものには所得税を課さない」と定められています。

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2008年4月 4日 (金)

生命保険を利用した相続対策4(その他)

今回は、その他の方法による相続対策のご紹介です。

1.「定期金に関する権利の評価」の利用
 例えば契約者・被保険者・年金受取人=被相続人(となることが予想される人)、死亡給付金(年金払い)受取人=相続人とする、遺族年金特約を付加した変額年金保険の場合、死亡給付金が分割払いで支払われる際の相続財産評価額は、受け取り期間に応じて割り引かれます。

2.死亡退職金の活用
被相続人(となることが予想される人)が社長の場合、会社内での立場を活用した方法があります。死亡退職金にも生命保険金と同様に「500万円×法定相続人の数」という非課税規定があります。よって、契約者・死亡保険金受取人=会社、被保険者=社長とする長期定期保険あるいは終身保険に加入し、死亡退職金の財源をこれらの生命保険で確保するという方法があります。

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2008年4月 3日 (木)

生命保険を利用した相続対策3(年金受給権)

前回までは、保険料贈与による相続対策についてお話しましたが、今回は「年金受給権による相続税評価額の引き下げ」についてお話いたします。以下のような年金に加入しておくと、相続税評価額を引き下げることができる、というお話です。

例えば被相続人(となることが予定される人)=契約者・被保険者・年金受取人とし、相続人(となることが予定される人)=死亡給付金(年金支払い)受取人とする年金保険(一時払い変額年金保険など)に加入しておく方法です。

上記の場合、
・被相続人が亡くなった場合は、年金受給権が相続人に相続され、
・被相続人が年金開始後に亡くなった場合は、残りの期間の年金分が年金受給権として評価され相続されます。

年金受給権は、年金受取予定額よりも低く評価されるので、相続税課税対象財産を減らす目的では有用な方法の1つです。

なお、平成18年3月31日までは「生命保険の権利評価」による相続財産の評価の引き下げが可能でしたが、平成15年税制改正により廃止されています(H18年3月31日までは経過措置が取られていました)。これは、例えば契約者・死亡保険金受取人=被相続人、被保険者=相続人とする短期払込終身保険に加入することなどにより、相続財産の評価引き下げが可能だったというものです。

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2008年4月 2日 (水)

生命保険を利用した相続対策2(保険料贈与)

前回、生命保険の保険料贈与の方法についてご紹介しましたが、その際の注意点を以下に書きます。つまり、これをきちんと行わないと生前贈与とみなされない、つまり実質の保険料負担者は被相続人(贈与者)であると税務署からみなされてしまう可能性があります(その結果、相続税の課税対象財産は減らないことになってしまいます)。

注意点

贈与事実の心証を得るために
1.毎年、贈与契約書を作成する。
2.あるいは毎年基礎控除以上の贈与を行って贈与税の申告・納税を行い、贈与事実を残す。
3.生命保険の契約者(受贈者)本人名義の預金通帳から保険料を引き落とす。
4.所得税の確定申告における生命保険料控除は、受贈者が行う。

祖被相続人(贈与者)から相続人(受贈者)にお金がきちんと贈与され、生命保険料の負担者は相続人(受贈者)であることをきちんと証明することが必要なのです。

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2008年4月 1日 (火)

生命保険を利用した相続対策1(保険料贈与)

今回は、生命保険を利用した、現金の有効的な贈与方法について紹介いたします。

契約者=被保険者=被相続人、死亡保険金受取人=相続人とする生命保険は、生命保険の非課税枠(法定相続人ひとりあたり500万円控除)があるので、相続対策としては有効な方法です。しかし保険料を払うことにより相続税の課税対象財産を減らしたい場合は、下記の「保険料贈与」が効果的です。

贈与者(被相続人)が受贈者(相続人)に現金を贈与し、受贈者は贈与された現金を生命保険の保険料にあてるというやり方です。生命保険の契約形態は
1.契約者=相続人(受贈者)、被保険者=被相続人(贈与者)、死亡保険金受取人=相続人(受贈者)
2.契約者=相続人(受贈者)、被保険者=相続人(受贈者)、死亡保険金受取人=相続人の子どもなど

などが考えられます。
受け取る保険金に対し、1の形態では所得税が(一時所得)、2の形態では相続税が課税されます。

相続財産がある程度高額である場合、相続人(死亡保険金受取人)の所得の多寡によっては、一時所得として課税される1の形態の場合のほうが保険金に対する税金対策としては2よりも有利な場合があります。

2の形態の場合は、相続税課税対象財産が高額でなければ、生命保険金の非課税額(法定相続人一人当たり500万円)を有効利用できます。贈与されたお金をさらに自分の子どもに渡したい時に有効です。

上記方法を実行する場合、いくつかの点についてきちんと行わないと「贈与」としてみなされなくなりますので注意が必要です。内容については次回説明いたします。

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2007年6月30日 (土)

贈与税の申告と納付

相続税の申告と納付については以前書きました通りですが、今回は贈与税についてです。

1月1日~12月31日(1暦年間)に受けた贈与(複数の者からの贈与の合計)が基礎控除額の110万円を超える場合は、贈与税の申告書を提出し、納税します。期間は、翌年2月1日から3月15日までの間で、贈与を受けた人の住所地の税務署に提出します。配偶者の贈与特例控除特定贈与者からの贈与を受ける場合は、納める税金がなくても申告書の提出が必要です。

○納税方法

現金一括納付が原則ですが、以下の要件を満たすときは、申告期限内に手続きをすれば延納が認められます。

・納期限までに金銭で一度に納付するのが困難な場合
・納付税額が10万円を超えていること
・担保を提供すること(ただし、延納税額が50万円未満で、延納期間が3年以内の場合は不要)

延納期間は最長5年間で、年6.6%の利子税が別にかかります。相続税の場合に選択できる物納(債権や不動産などで納税)の制度は、贈与税の場合ありません。

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2007年6月29日 (金)

住宅取得資金にかかわる相続時精算課税制度

前回は、相続時精算課税制度についてでしたが、贈与対象財産が住宅取得資金の場合を以下に詳しくみていきます。

○異なる点

・贈与者は65歳以上の親に限らず、65歳未満の親も対象になります。
・贈与税の非課税限度額は1,000万円加算され、3,500万円です。

○住宅の要件

・受贈者が住む家で、床面積が50m2以上あり、かつその家屋の2分の1以上が居住用(店舗併用住宅などの場合)。
・中古住宅の場合は、築年数が20年(耐火建築物は25年)以内。
(H17年4月以降取得するものについては、新耐震基準に適合しているものは築年数にかかわらず対象となります)。
・増改築の場合は、工事費用が100万円以上であり、かつ増改築後の床面積が50m2以上。
・H19年12月末までの適用でしたが、H21(2009)年末まで延長されました。

(追記)内容は変わっていますが、H26(2014)年も継続されています。

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2007年6月28日 (木)

相続時精算課税制度

H15年の税制改革によって新しく導入された制度で、親の財産を次世代へ円滑に移転させるためのものです。通常の贈与では暦年で110万円までの控除枠がありますが、代わりにこの制度を利用することにより2,500万円(住宅取得資金贈与の場合は3,500万円)まで贈与税はかからず、代わりに相続時に相続税が課税されるというものです。

○対象者: ・贈与者・・・65歳以上の親(贈与の年の1月1日時点の年齢)→特定贈与者といいます。
         ・受贈者・・・20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)(贈与の年の1月1日時点の年齢)

○対象財産: 親が子どもに贈与する財産の種類に制限はありません。株でもOKです。また、金額、贈与回数、贈与期間にも制限はありません。

○その他: 

・父母それぞれの贈与に適用を受けることができます。
・一度届け出すると変更不可で、相続時まで継続してこの制度の適用を受けることになります。
・この制度の適用者が特定贈与者(被相続人)の一親等の血族に該当しないような場合には、2割加算の対象になります。

○税額の計算

①贈与時: 

この制度を選択した子が親(特定贈与者)以外の人から贈与を受けた場合は、110万円を基礎控除した後に、通常通りに贈与税額を計算します。この制度を選択した親からの贈与財産については、累積で2,500万円の非課税枠を超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。(住宅取得資金の場合は3,500万円まで。ただしH19年末までの当初の期限は延長されています。)

②相続時:

それまでの贈与財産と、相続財産を合計した価額に対し、所定の税率をかけて相続税額を計算します。そこからすでに支払った贈与税額を控除した額が、支払うべき相続税額です。

→ ・すでに支払った贈与税額のほうが、計算された相続税額より多い場合は、還付を受けることができます。
   ・贈与財産の価額は、相続時ではなく贈与時の価額で計算します。

この制度を利用しても利用しなくても、理屈の上では支払う税額の合計は同じであり、節税になるわけではありません。しかしこの制度を利用することにより、少ない税額で早めに財産を移転することができるので、評価が上昇しそうな財産を持っているときには有効活用できます。

一方で建物や土地の場合については、(相続税評価額は通常は時価よりも安くなるので、)暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利かはわかりません。

「相続時精算課税」の場合は2,500万円(3,500万円)が相続財産として算入されますが、一方で暦年課税を選択し、贈与税の非課税限度額を超える部分については親名義の不動産(贈与する人の名義)としておくことにより贈与税は課税されず、相続時には相続税評価額として評価されるので(相続時に不動産が大きく値上がりしていなければ)暦年課税のほうが有利になることもあります。

ただし、親名義の部分は「住宅ローン減税」は受けられないので注意が必要です。

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